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白内障とは
人間の目の中にはカメラに例えるとレンズに当たる水晶体という部分があり、水晶体が濁ってくる病気のことが白内障です。白内障になると、見にくい、かすみ、ぼやけ、まぶしさなどの症状がでます。白内障の原因としては加齢によるものが最も多いですが、アトピー性皮膚炎などの全身疾患、ステロイドなどの薬物使用、外傷によるものもあります。
白内障治療について
白内障の程度が軽度の場合は経過観察します(点眼を処方する場合があります)。
日常生活に支障が出る程度に白内障が進行すれば、手術による治療を行うのが一般的です。
手術する時期は人によって違いますので、担当医と御相談ください。
白内障手術は、手術方法や機器の進歩により、安全かつ正確に行うことができるようになってきました。
当院では白内障手術は、入院手術・外来手術共に可能です。日帰り手術が可能な方は、通院できる方、ご家族の協力を得られる方など条件がありますが、お身体の状態や白内障の重症度により、入院手術が必要な場合がありますので、担当医とご相談の上、お決めください。
手術の実際
手術は通常、局所麻酔下にて行います。痛みはほとんどありません。麻酔は点眼麻酔をした後に注射の麻酔をしますが、麻酔の痛みもほぼありません。手術中、痛みはほとんどなく、意識がありますので、医師やスタッフの声も聞こえますし、会話もできます。緊張される方が大変多いですが、声をかけながら手術が進行しますので、リラックスして手術を受けてください。
手術は顕微鏡を使用して行います。傷口は約3mmと非常に小さく、超音波を利用して水晶体の濁りを取った後、眼内レンズを挿入します。
手術時間は特に問題がなければ10〜20分程度で終了します。
眼内レンズは、取り除いた水晶体の代わりに、ピントを合わせる働きをします。眼内レンズを挿入後は、異物感はなく、取り外しをする必要もありません。
一度挿入すれば、半永久的に使用できます。通常の症例の場合、アクリル製ののレンズをインジェクターという筒の中から小さい傷口からいれます。
当院では白内障手術は年間約2500例施行しており、安全性と確実性は、医師やスタッフの高い医療技術と最新の手術設備によって保たれてます。
しかし、手術には予測できないことが起こる可能性は必ずあり、100%の成功率を望むことはできません。最新の手術設備を整えるとともに、医師およびスタッフはトレーニングを十分に受けてますので、安心して手術を受けてください。
超音波水晶体乳化吸引術
眼球を切開し、水晶体の前嚢を切り取る。 |
水晶体の核と皮質を超音波で砕き、吸引して取り出す。後嚢とチン小帯は残す。 |
残した嚢の中に、眼内レンズを挿入する。
眼内レンズの構造
眼内レンズは約6mmの中央部のレンズの部分の光学部とレンズを固定する支部でできています。長さは約13mmですが、インジェクターと呼ばれる筒の中に入れて、小さい傷口から目の中に挿入します。
白内障により、視力が低下したり、かすんだり、ぼやけ、まぶしさなど日常生活に不自由になった方が対象となります。白内障以外の目の病気(角膜疾患、眼底疾患、緑内障など)がある場合は、手術の適応にならない場合がありますので、担当医とご相談ください。
術中・術後に予測される合併症
術後炎症
手術後に炎症により、角膜が浮腫んだり、眼圧が上がることによりしばらく見にくいことがあります。点眼や飲み薬を追加する場合がありますが、1週間ほどたてば、回復してきますので、医師の指示に従ってください。
術後屈折のずれ
手術の時に挿入する眼内レンズの度数は患者のライフスタイルのより、事前に狙い度数を相談した上で、術前検査の予測値により決定しています。
まれに、術前の予測値と狙いの屈折がずれる場合があります。ずれ幅が小さく、患者様の日常生活に支障がなければ、大きな問題となりませんが、大幅に度数がずれて日常生活に支障が出る場合は、挿入した眼内レンズを摘出して、新たな度数の眼内レンズを挿入する場合があります。
後発白内障
眼内レンズを支える袋(嚢)は透明ですが、手術後に濁ってきて、再度見にくくなることをいいます。
その場合、外来でレーザーでの濁った嚢に切れ目(切開)を加えることで、再度見えるようになります。濁りの破片により蚊が飛んだような飛蚊症がでる場合ありますが、時間とともに減ってくることが多いです。
眼内レンズが入らない
手術中、水晶体の組織が弱い場合、眼内レンズを固定する袋が弱い場合、白内障が極めて重症な場合に眼内レンズを挿入できない時があります。
この場合には後日、眼内レンズを縫いつける方法で入れます。
術後感染
手術の傷口から細菌が入り、炎症を起こす場合があります。感染起こした場合、軽度の場合は点眼、内服、点滴で回復しますが、重症の場合は手術が必要になります。重症の場合は、最悪失明する場合があります。当院は開設以来、白内障手術を約8万件行いましたが、術後感染を起こした症例は1例のみで、感染には大変気をつけて手術を行っております。
感染を起こしますと、急激に視力が下がったり、充血、眼痛といった症状がでます。
上記の症状が出た場合は、すぐにご連絡をください。
後嚢破損(破嚢)
眼内レンズを支える袋(嚢)が何らかの原因で手術中に破けることがあります。
破嚢が起こると、手術に少し時間がかかります。 また、破嚢の程度が大きい場合には、眼内レンズを挿入できないこともあります。この場合には後日、眼内レンズを縫いつける方法で入れます。
1.白内障の検査・診断について |
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視力検査 細隙灯顕微鏡検査 眼底検査 |
2.白内障手術の術前の検査と説明 |
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検査・診察を受けて白内障手術することが決まりましたら、手術前に必要な検査と手術の詳しい説明を受けていただきます。 |
3.手術日 |
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入院の方は手術前日もしくは当日に入院していただきます。 |
4.白内障手術後について |
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手術後は傷口の加減で通常違和感があることが多いですが、痛みがでることはまれですので、安心してください。手術後は定期的に診察が必要ですので、担当医の指示通り受診してください。術後の見え方は、1週間ほどたてば、目の他の病気がない場合はほぼ回復します。 |
単焦点眼内レンズ
白内障手術では一般的に単焦点の眼内レンズを使用します。
単焦点眼内レンズでは焦点(ピント)が1点にしか合わないため、術後は眼鏡が必要になります。
例えば遠くに焦点が合っている場合には老眼鏡が必要となり、近くに焦点が合っている場合は遠方用の眼鏡が必要となります。
焦点が1点であるため解像度やコントラスト(鮮明さ)が高く、見え方の質を求める方や夜間に運転する方、眼鏡をかけることに抵抗がない方に向いています。
保険診療で行われますので、日帰り手術の方と入院される方、手術の時に使う薬剤などで少し費用が変わりますが3割負担の方で約5〜9万円程度になります。
多焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズでは1点にしか焦点が合わないですが、これを補うために登場したのが多焦点眼内レンズです。
多焦点眼内レンズは遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズと同様に遠近や遠中近の距離に焦点を合わせることができます。
しかしレンズの構造が複雑なために単焦点眼内レンズに比べると、暗所で光が散乱し光の周辺に輪がかかって見えるハロー・グレア現象やコントラストの低下(鮮明さの微妙な低下)が起こる場合があります。
当院では見え方の特徴の異なる数種類の多焦点眼内レンズの中から、患者様のライフスタイルに合わせた眼内レンズの選択を行っています。
多焦点眼内レンズの手術には一部保険が適用される選定療養と全額自費扱いとなる自由診療があります。
選定療養
2020年4月より一部の多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。
保険適用の治療(白内障手術費用)と保険適用外(自費)の治療(多焦点眼内レンズ代と追加検査)を併せて受けることができる制度です。
対象となる眼内レンズは厚生労働省が認可したレンズのみとなります。
費用に関しては多焦点眼内レンズ一覧をご参照ください。
自由診療
厚生労働省の未認可の多焦点眼内レンズを使用する場合は自由診療となり、手術における費用は全額自費負担となります。
自由診療の眼内レンズの中には選定療養の眼内レンズより焦点の数が多いものや、度数の規格が広いレンズ、オーダーメイドで作成できるレンズがあります。
費用に関しては多焦点眼内レンズ一覧をご参照ください。