涙道閉塞治療

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涙道閉塞とは?

涙道閉塞は「涙の排出路(排水管)が詰まる」病気です。涙は瞼の涙腺で作られ、目の表面を潤した後、目頭にある小さい排水口「涙点」→「涙小管」→「涙嚢」→「鼻涙管」→「鼻腔」に抜けて行きます。この排水経路のどこが詰まっても涙の排水が出来ないことになります。
※古い時代の教科書では「加齢」による病気と言われてきましたが現在、専門外来には0歳児〜100歳代の方まで受診されています。

症状

常に涙が溜まっていたり、悲しくもないのに涙がこぼれてきたりします。
目頭の部分を押さえると透明〜淡黄白の粘度の高い分泌物が逆流することもあります。炎症を起こすと「涙嚢炎」といって目頭が赤く腫れ、うずくような痛みも生じてきます。

白内障や緑内障の手術を手術する場合に涙道が閉塞していると、逆流してきた膿を含んだ涙のため、手術の傷口から眼球内に細菌が入り「眼内炎」を起こす危険性があります。手術時の危険性を減らすためにも、涙道閉塞は治しておく必要があります。

検査

  1. 眼球表面の涙液量の測定
  2. 涙道通水検査:涙道閉塞の有無は涙点から生理食塩水を注水して鼻腔に流れてくるかどうかの自覚を確認する検査

また涙道の内腔を直接観察できる「涙道内視鏡」や鼻の中を観察する「鼻内視鏡」を使用すればより詳しく状態が分かります。

治療

目薬では治りません。閉塞部を物理的に開通させ涙の排水路を確保します。
今までは「ブジー」と呼ばれる先の丸い金属棒を涙道内に挿入し、閉塞部を突いて再開通させていました。しかしその金属棒の先端は直視下に無いことから、挿入したブジー先端の操作は指先の感覚に頼るしか無く盲目的なものでした。
この治療の成功率はその専門家でも低く、最近は内視鏡を使って直接観察しながら閉塞部を解除する治療が主流になってきています。

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涙道内視鏡での手術
涙道内視鏡先端

(涙道内視鏡下)涙管チューブ挿入術

直径0.9mmの涙道内視鏡で涙道内を直接観察しながら、閉塞を解除させます。
閉塞の無くなった涙道に直径1mmのチューブを挿入し2〜3カ月間留置します。
治療時間は15分から30分程度。入院の必要はありません。

涙嚢鼻腔吻合術

閉塞した部位の横から一部、鼻の骨を切除して窓を作り、直接鼻腔に通じる吻合孔(バイパス)を作成する術式です。入院が必要です。

A:鼻外法 B:鼻内法
目頭から鼻の横にかけて皮膚を切開し直接観察しながらバイパスを作ります。
従来からある術式で切開が必要ですが確実な方法です。入院は1週間程度で、抜糸してから退院です。
顔面の皮膚切開をせず、鼻内視鏡を使って鼻腔から鼻粘膜や骨を切除しバイパスを作ります。顔面に傷を残さず、抜糸も無いため入院も短い(2〜3泊)術式です。但し、鼻中隔弯曲(左右の鼻の孔を分ける壁が強く曲がる疾患)、耳鼻科疾患がある場合は不向きで、その重症度によっては、そちらの治療を先にしていただく場合もあります。

涙道の手術では眼科と耳鼻科の両方の知識が必要とされます。特に鼻腔からの手術は狭く、出血しやすい場所であることからこの手術を施行出来る施設は全国でも数える程しかありません。

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