網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症の概要
網膜について
網膜には動脈と静脈と呼ばれる2種類の血管が分布しております(図:網膜の構造)。
体から目に流れてくる血液は、動脈を通って目の中に酸素や栄養を運び、静脈を通って再び体へと戻っていきます。
この静脈がつまる(閉塞)と血液が体へ戻れなくなり、網膜に溢れ出てしまいます。
ちょうど、下水道の排水がつまって、まわりに水が溢れ出ている状態と同じことが目の中で起こると考えてください。
網膜の静脈は細かく枝分かれしておりますが、徐々に集まり最終的には一本の血管(中心静脈)に集合します。
この中心静脈が詰まることを網膜中心静脈閉塞症(図2)といい、枝分かれした細い血管が閉塞すると網膜静脈分枝閉塞症(図3)と言います。
どちらの場合も黄斑と呼ばれる視力にとって大事な部分に出血やむくみがでると視力が低下します。放置していると血液不足を補おうと異常な血管が生まれ、その異常血管が切れて出血(硝子体出血 図4)を起こしたり、場合によっては緑内障になって失明することもあります。
網膜静脈閉塞症の症状
網膜分枝閉塞症の場合、黄斑以外で閉塞が起こると全く無症状のことがあります。
黄斑近くで閉そくが起こると、出血やむくみのせいで視力低下や物がゆがんで見える(変視)ようになります。
網膜中心静脈閉塞症の場合は黄斑を含めて広範囲に病変が及びますので、こちらの方がより重症です。視力低下や変視はもちろんのこと、硝子体出血を起こしたり、緑内障を合併すると失明の危険性が高くなります。
網膜静脈閉塞症の原因
高血圧や糖尿病、動脈硬化の患者さまに起こりやすいと言われています。
網膜の中を走っている動脈と静脈はお互い譲り合って流れていますが、動脈硬化が進むと静脈を圧迫するため、静脈は流れにくくなります。これにより静脈の血液が溢れ出てしまうのです。
網膜静脈閉塞症の治療
1.抗VEGF注射
細い針を用いて眼球内に薬剤を注射することで、黄斑のむくみや網膜の出血を改善します。複数回の注射が必要です。
2.レーザー治療
造影検査を行い無血管領域にレーザーを照射し、進行を抑えます。
3.硝子体手術
黄斑のむくみを改善したり硝子体出血を生じた場合に選択される治療です。
メールでのお問い合わせ
info.eye@tane.or.jp